逆に言えば

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逆に言えば

小説としては出だしの序曲がかなりキリスト教的な雰囲気を漂わせているので親鸞の話とは判じ難いほど。

然し、その後の展開は確実に浄土真宗の発展と唯円と親鸞の指定を中心に話は進んでいく。
27歳の人が書いたとは思えないような大悟したかのような書き方である。
話中でキリスト教的な解釈や聖書の言葉である〝赦す〟とか〝愛す〟と言う言葉が頻繁に出てくるが、鎌倉時代の初期にこのような言葉が実際に語られたかどうかは別にして読んでいる方には非常に分り易い。
逆に言えば、筆者倉田百三も我々も相当に西洋の文化である「キリスト教的」精神やその真髄に慣れ親しんでいるとも言えるように思う。
この為であろうか、本書は英訳され英訳を読んだロマン・ロランが仏訳した序文も載せられている。
解説は文芸評論家の谷川徹三氏。

諸外国後に訳され、各国で親しまれている本書はそんな東洋の思想の根本たる仏教と、西洋人が生まれた時から馴染むキリスト教の精神を巧みに取り入れて一冊の本にしている。
本来、相容れないもののように思うが宗教は根本の処で説くことは人類普遍の真理に近いのかもしれない。
筆者もそれを訴えるべく、仏教的になり過ぎないように聖書の言葉を随所に取り入れて本書を書き上げたのかもしれない。